神と罪のカルマ オープニングsecond【06】




「何か作戦立てた方がいいのかね」
「立てても意味がないねぇだろ。家から人が出ねぇんだから」
 調理場にて本日の片づけをする料理人たち。仁樹も例外ではなく、賄い食にも使えない生ごみを纏めて業務用のゴミ袋に入れている。
 先輩も料理長と話しながらもしっかりと手と足を動かして本日の余り物を片づける。休日でありながらも予想より残ってしまった料理に嘆きの声が聞こえる。
「今日は随分と余ったね」
「客の出入りが悪かったらしいかったからなぁ。人気料理店の料理人として悲しいぜ」
「だけど、まだウチはいい方じゃないかな。違う料理店では臨時休業しているところもあるみたいだし……」
 一番儲けどきの休日である今日に臨時休業とは大胆なことだ。
 営業が下手なのか、自分たちも危険を感じて休みにしたのか。
 確かに天気が雨、危険な日々が続いているということもあって客の出入りは悪いだろう。
 しかし、それでも危険の中だとわかっていても休日出勤している人たちもいる。そんな人たちが我々の作り出す料理を求めている。
 料理人の自分の料理を食べてもらうことが料理人の嬉しさ。求める者がいるのなら作り出すのが料理人だ。
「まぁ、ネットの情報によるとここ二、三年で出来た小さな料理店みたいだけどね」
「『九年前』から店開いてる奴らからしてみれば、今回の事件は危ないなぁって思うぐらいだろうな」
「『九年前』よりはマシッスか?」
「そうだな。あれ程〝恐ろしいもん〟 は簡単には起きなねぇ。警察もそれを経験して民間人が影響されないように気を付けてるしな」
「それでも、早く『平和』がきてほしいのは変わらないよ」
「まぁな」
 夕飯の賄い食に使っても余ってしまった料理を器に移し、巨大な冷蔵庫に入れる先輩。
 明日の昼の賄い食に使われるため、本当に使うことが出来ないもの以外は捨てたりはしない。
 食材にかかった金銭関係もあるが、それは犠牲になった命に対する失礼な行動になってしまうから。
 料理人として、命を捧げてくれた食材への礼儀を忘れるな。
 それがグーテンタークの料理人の掟。
「人間同士が危険に落とし合うことなんざしなくていい。奪うのは食材になってくれる命だけだ。
 そして、その命に敬意と感謝をするのを絶対に忘れちゃならねェ」

 食材となってくれた命の『平和』を奪ったことを忘れてはならない―――。








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