神と罪のカルマ オープニングthird【03】




「やぁ、仁樹」
「お兄ちゃんいらっしゃーい!」
「……なんで?」

 先程、朋音を職場へと送ってきた。
「相変わらずいい男ね~」
「あたし、あと十年若かったらな~」
「背も顔も性格も最高に理想過ぎですよ!」
 職場の方々に褒められまくった。
 毎回、仁樹がくると作業を中断して話しかけてくる職場の人たち。
 朋音の職業は男性の方が多いものなのだが、彼女の勤め先は職員全員が女。
 いや、此処の社長は男なのだが―――……。
「あ~ら~、仁樹君じゃな~い」
 察して欲しい。
 仁樹は女性にモテる。朋音のように老若男女全てのものが振り向く絶世の美人というわけではないが、それでも女性にとって魅力的であるのには変わらない。
 容姿鍛錬で頼もしく、話をしっかりと聞いて気遣いができる。料理が上手で趣味。
 自分が疲れていようとも自分の自由な時間は彼女に注ぐ、一途で『揺ぎ無い愛』。
 『理想過ぎる男性』。それが彼女の職場の方々につけられた仁樹の肩書きだ。
「仁樹君、褒められてるね!」
 褒めに褒められまくっている仁樹の隣で朋音が自分のことのように喜んでいた。
 しかし、仁樹は自分がモテることについて正直にどうでもいいと思っている。それは男としてどうなんだと思うわせるぐらいに。
 格好をつけているわけではない。褒めてくれるのは純粋に嬉しいが、自分には朋音がいる。朋音だけにモテればいい。
「本当に朋音ちゃんが羨ましいわ~」
「あたしの旦那ももう少し仁樹君を見習って欲しいわね」
「私も仁樹さんみたいな彼氏欲しいですー」
「朋音ちゃんだからかな~。こんないい彼氏出来るの~」
「朋音ちゃんってだけで納得できそうよね~」
「えっ、えぇ?」
 続いて、朋音が褒められることに。
 まさか自分も言われるとは思っていなかったのか、慌てたように顔を赤くさせて顔を両手で隠す。
 そんな彼女の姿を見て、社長は仁樹に視線を移す。
「こんな素敵で最高な子に選ばれたんだから、仁樹君は幸せ者よね」
「はい」
「あ、その、私が選んだとか、そういうわけではないですよ」
「あら?」
「仁樹君は私にとって勿体無いぐらい本当に素敵な人だから、私じゃなくて仁樹君が選んでくれたんです」
 自分の褒められた恥ずかしさが抜けてないのか。
 顔を隠したままの姿で、それでも曇りなき彼女の言葉が伝える。
 数多の女性の中で仁樹が選んでくれたのだと―――。
 そんな彼女の言葉に、仁樹の口元が緩む。
「俺は選んだわけじゃねェよ。俺の目にはお前しかいなかったんだよ」
 朋音しか見ることがなかった。朋音以外考えられなかった。
 この想いをあげたい。そう思えたのは朋音だけ。
 仁樹と朋音の互いを想い合う言葉に、その場にいた全員がほほ笑む。
 馬鹿にすることも野次を飛ばすことも無い。二人はこういう関係なのだとわかっているのから。
 社長の「仕事に戻れ」との言葉に、全員が止めていた作業に戻る。朋音も仁樹に手を振って奥にある準備室へと向かった。
 本当はここ最近の連続犯罪者のこともあって建物の中でも心配で傍にいたいと思うのだが、仕事の邪魔にもなる。
 何よりも灯真との約束がある。そして、此処の社長は、昔に恐ろしいことをしたという噂があるようでないような強い味方がいる。
 そんなわけで職場の人に挨拶をし、朋音に迎えに来る時間を知らせてから財崎家へと向かった。

 予定より遅めに出たので少し早足で歩き、数十分かけて到着。
 呼び鈴を鳴らし、機械を通して帰ってきた声に疑問を持つ。灯真の声でも博士の声でもない。しかし、危険な人物ではないことはすぐにわかった。
 親しい声。
 そして、話は冒頭へと戻る。

「いや、なんで海琉がここにいるんだ?」
「だって、今日学校が休校だっていうじゃないか」
 正体はお馴染み、正義の味方である海琉。
 正義の味方と表現したが、彼の服装は黄色と緑のジャージと、平日の大人にしては緩やかな服装。おまけに頭にはタオルを巻いている。
 正義の味方というよりかはヒーローショーの裏方役のような恰好をしていた。
「で、灯真君が寂しがってないかな~って、遊びに来ちゃったのさ。ねー?」
「ねー!」
「ねーって……」
 相変わらず、この親友は本当に超能力でも使っているのではないだろうか。
 そう思ってしまうほどに彼がたてる予想は全て正解、真実であり、素直に凄いと感心してしまう。
「それとね、ちょっと仁樹とゆっくり話したいと思ってね」
「俺と?」
 別に話すことはかまわない。だが、本日は灯真と遊ぶ約束をしているため、ゆっくりとは出来ないだろう。ましてや、ほったらかしにするなど言語道断。
 仁樹の思っていることに気付いたのか、問題ないように海琉は話を続ける。
「心配ないよ。ゆっくりと言ってもそんなに長い話じゃないし。それに灯真君には秘密兵器を用意したから」
「秘密兵器?」
「おもしろいものー!」
 秘密兵器とは一体。灯真はそれを喜んでいるみたいだ。海琉のことだから危険なものや変なものではないことは確かであるが気になる。
「まぁ、百聞は一見に如かずってことで」
「そうだな。玄関に居ても何も始まんないし、見れば早いしな」
「ひゃっけんはいっけんにしかず?」
「『百聞は一見に如かず』な。人から何回も聞くよりも、自分の目で見た方が確実であることを表しているんだ」
「お、おー……」
「また、辞典そのままな説明して……」
「あ……」
「何回も聞くよりは自分で見た方が早くてわかりやすいってことだね」
「そっかー。じゃぁ、お兄ちゃん!ひゃくぶんはいっけんにしかずだよ!」
 新しく覚えた諺を自信満々に口にして居間へと走っていく灯真。
 危ないから走るなと後ろから注意しながら、自分の癖に反省する仁樹。
 説明する際に、辞典の文をそのままいう悪い癖。本人は減ってきたと思っていたのだが、気付かない内に出てしまうらしい。
 そんな仁樹に「まぁ癖だから仕方が無い」と慰めてから海琉も居間へと向かった。仁樹も自分のくせに溜息をつきながら足を動かす。
途中、一つの扉に視線を向けた。博士の部屋だ。中からはパソコンに打ち込んでいる音が聞えてくる。
 この調子だと時計すら見ていなさそうだ、と扉の向こう側の主にもため息をついた。

 博士の向かえにある、畳の部屋へと足を踏み入れた仁樹。
 広さは八畳程の部屋で、とても立派な仏壇と優しくほほ笑んだ女性の写真が飾られている。
「おはようございます」
 仏壇の前に座り既に差してあったろうそくに火を灯し、線香あげる。静かに目を閉じ、手を合わせた。
 写真の女性。数年前にこの世を去った博士の妻であり、灯真の母親。
 手を合わせながら、先日の夜中に線香も上げないで帰ってしまったことを詫びる。
 この人だから、仕方ないと笑って許してくれそうだ―――。
 いまは亡き彼女の笑い顔を想像しながら、静かに手をおろして瞳を開く。よく見ると、仏壇には見たことないお菓子の箱が供えられているのに気付く。
 多分、海琉が持ってきてくれたものだろう。お礼を言わないとな、と立ち上がり今度こそ居間を目指した。

「お兄ちゃーん!コレコレ!」
「おぉ、秘密兵器ってなんだ?」
 居間に入ると灯真が嬉しそうな顔で何かを仁樹へと差し出してきた。
「これ、買ってもらったの!」
 手にあったのは、幅広い世代に大人気な某有名アニメの組立てロボットプラモデルの箱。
「オイ、海琉」
「大丈夫。簡単なものだよ」
「そうじゃァねェよ。なんでコレ?」
「だって、灯真君こういう作るもの好きでしょ?」
「そうだけど。なんで小さい子ども向けのではなく、このアニメ?」
「俺が好きだから」
「お前の都合じゃねェかよ」
「だって、作るなら誰もが楽しめるものじゃないとさ」
「俺、このアニメ知らないねェ」
「嘘!?」
「殴ったね親にもなんとかこんとかぐらいしか知らねェ」
 危険なものでも変なものでもなかった。が、海琉の頭が可笑しかった。
 スーパーやおもちゃ屋で売っているもの食玩的なものではなく、専門店などに売っていそうな本格的なプラモデル。
 今どきの瞬間接着剤も塗装もニッパーもいらない。安全で簡単。しかし値段は本格的。そんなプラモデルが一箱ではなく、三箱も。
「ロボットは男のロマンじゃないか?戦隊ものにも欠かせない」
「俺、戦隊もの見てなかったから」
「えー、もしかしてライダー派?」
「ライダーも見てねェ。しっかし、こんなにもらって悪いな。金返すよ」
「いいよ~、別に。俺が買ってあげたかったから」
「けどよ」
「それなら、今日のお昼と夕飯ごちそうしてよ」
 それでチャラにしよう!
 得意の指鳴らしと爽やかな笑顔での提案。
 いつもそうだ。海琉が何かをしたらお礼は仁樹の手料理。それでも、今回は二食分で三箱のプラモデルの金額に足りるのだろうか。
「いいけど、料理だけでチャラになるか?」
「あっれー?有名店、グーテンタークの料理人がそんなこと言ってしまうのかい?」
「……上等だ。ツリが出るほどの料理作ってやるよ」
 喧嘩を売られたわけではない。だが、挑発され、料理人としての火が付いた。
 頭の中はすでにメニューを考え始めている。まだ午前10時にもならない時間だというのに、短時間で昼食と夕食のことで頭の中が埋まっていく。
 海琉はそんな仁樹の様子に呆れ、目の前で手をひらひらと動かす。はっ、と自分の世界に入り込んでいた意識が強制的に現実の世界に帰ってきた。
「最高の料理は期待するけど、俺と灯真君を忘れないでね」
「悪ィ、つい癖で……」
「料理人にとってはいい癖だけどね」
 肩をすくめる親友。
 料理人としてはいいのだが、日常生活でも出てしまうとは。これも一種の職業病なのだろうか?、と仁樹は自分自身に呆れてしまう。
 反省しながら立ちっぱなしでいたこともあって、海琉にソファーに座るように促した。親友であっても客人は客人。飲み物を準備するためにすぐ近くのキッチンへと足を運ぶ。
「あ。灯真」
「なぁに?」
 足を止め、居間の床で組立て作業を続ける灯真に振り向き呼びかける。灯真も作業を止め、顔を上げた。
「何かわからないところがあったら兄ちゃんに聞けよォ」
「でも、お兄ちゃんたちおはなしするんだよね?」
 会話の邪魔をしてはいけないと言いたいのか、小さな顔で首をかしげる。
「今日は灯真と遊ぶ約束が先だったんだ。こいつは割り込み」
「わりこみ?」
「うわー、酷い。本当のことだけど表現が酷い」
「わりこみってなに?」
「あー……、と、横入りってことだ」
 先程の悪い癖を出さないよう、言葉を選ぶ。
「あー、かいるお兄ちゃん、よこ入りはだめって先生いってたよー」
「大人には大人の横入りってあるんだよー」
「嘘教えんな、そこ」
 先日の自分の嘘を棚に上げ、再びキッチンへと向かう。
 何度もここの家には訪れているようで、迷わずにコーヒーやカップを取り出し、電気ポットでお湯を温める。冷蔵庫を開き、灯真用の飲み物としてオレンジジュースを取り出し、その流れで料理に使えそうなものを探し出す。
 ここの家の主である博士は、冷蔵庫の中に入れっぱなしにして食材を腐らせかけることが多い。今回のお礼も兼ねた昼食や夕食の食材は仁樹の財布から出すが、博士への食事は冷蔵庫のものを使うつもりだ。
 料理人として食事なしの行動を見逃せないこともあるが、この場合、食材に失礼だという気持ちの方が大きく締めている。
「腐らせるなら買ってくるなよなァ」
「そういえば、仁樹さー」
「あー?」
「この前、女の子殴りかけていたね」
 手に食材を持ったまま一時停止。
「……お前、いたのか?」
「夜道をフラリとね」
「雨の中を?」
「雨の中を、家に居たくなくてフラリとね」
 何処の家出少女のセリフだろうか。食材を冷蔵庫に戻し、お湯が沸くまで食卓テーブルの椅子に座る。
「ホント、仁樹って女の子に言い寄られるね」
「俺はそれが本当に迷惑なんだけどな」
「それ、男の人にとっては嫌味に等しいよね」
「お前も嫌味に受け取るのか?」
「ぜーんぜん。俺はモテて苦労してきた君や朋音ちゃんを見てきたからね。モテるなんてゾッとする」
 嫉妬、憎しみ、恨みと。モテるというものはいいことばかりではない。
 仁樹は高校生時代に、あの都市伝説だと思われている下駄箱から大量のラブレーター事件を経験した。それは嬉しいさや恥ずかしさよりなどよりも、これらをどうしようかと朝から考えるのに苦労した。
 そのあと、男の嫉妬などで喧嘩を売られたことなど両手では数えきれないほどの事件に巻き込まれるという典型的なラブコメ展開が待っていたなど当時の仁樹は想像できなかったであろう。
「ナイフ持ち出されたときはなんでだよって思ったぜ」
「でも、ボッコボコに倒したよね?」
「最後には爆竹投げてきやがったんだぜ。仏の顔で許せるかよ」
「まぁ、無理だね。それと、女の子は徹底的に無視してたね」
「関わりたくなかったんだよ」
 高い声で騒ぐ女子の声は自分にとってはいいものではなかった。モテることがどうでもいいと思えるのは、おそらくこの過去にあった経験も一つの理由であると考えられる。
女子にモテれば男子に命を狙われる。何ともバイオレスな学生時代だったであろうか。
「女の子は何かと面倒なことがあるからね。でも、学生時代に『醜い男の嫉妬』は沢山見たけど、『怖い女の嫉妬』って見たことないかも」
「……そうだな。俺も朋音が嫉妬されたとこみたことねェ」

『学校一の美少女』。
『我が校のマドンナ』。
『朋音お姉さま』。
 学生時代から全生徒の憧れ的存在であった朋音。
 当時の仁樹は投票に参加してはいなかったが、高校の学祭でのミスコンでは三年連続優勝だったらしい。
 本人は知らないうちにクラスメイトに参加させられていたみたいだったが……。
 そんなにモテる彼女であったが、女子による虐めなどは一度もなかったというのだ。
『朋音ちゃんだから!』
 そう『朋音だから』という理由で、女子は誰も彼女に嫉妬などしなかった。それどころか、彼女に振られてストーカー紛いなことをしていた男子を海琉の妹を筆頭に女子大人数で懲らしめたという実話があるのだ。
「俺からしてみれば、嫉妬より女子の団結力が怖い」
「大丈夫。男はみんなそう思っているから」

 そのあと昔の話に鼻を咲かせながらも、海琉が持ってきた本題に話題を移す。
 内容はやはりというべきか。いま、世間を騒がせている事件。連続犯罪者のことであった。
「『死の遊び人(デスプレイヤー)』、なァ……」
 淹れたてのコーヒーを口にして呟く仁樹。砂糖は入れない彼とは反対に、海琉は砂糖を入れてかき混ぜる。
「殴って締めて切って、と。こんなに派手な行動をしているのに目立たないなんてさ」
「何か不自然なんだよな……」
「君もそう思うかい?」
「お前もな」
 不思議でも不気味でもない。
〝不自然なのだ〟 。
「生きていたということは、〝誰かが通報したということだ〟」
 全ての事件は警察に通報されている。それも全て被害者当人ではなく、発見者である第三者からだ。被害者である全員は生存していることから、つまり犯人は第三者に見つかり、警察を呼ばれたことで行為中断し、逃走したことが推測できる。
「それなら、〝目撃情報があるはずだ〟」
 そう……、この推測が正しければ。
〝その第三者が見ているはずなのだ〟。
「その第三者さえ襲われていたのなら無理は無いけど、彼らは全員無傷」
「無傷で無事。そして犯行を見つけて警察に連絡したんなら……」
 顔が見えてなくても、服装、体系、性別。手掛かりになる情報は少なからず入ってくるはずだ。
「それが全くないっていうのが、不自然なんだよね」
「第三者が脅されていたとか?」
「そして、一ヵ月もこんな派手な行動をして見つからないと考えると……」
「共犯者がいるってことか……」
 不透明な点が多すぎる今回の事件。彼らの推測は果たしてどこまで正解へと近づいているのか……。
 真剣な表情で考え込む仁樹。すると、下の方から視線を感じた。幼い視線。この場で幼いのは灯真だけで、目を合わせるとキョトンとした顔をしている。
 途端に、仁樹は真剣な表情は崩れ、兄としての優しい顔を見せた。
「どうした?」
「いま、だいじょうぶ?」
「勿論、大丈夫だぞ」
 今日は、灯真と過ごすことを約束した日なのだ。灯真が優先なのは当たり前。
「あのね、ここがどうしてもつながらないの」
 差し出された小さな手に握られた部品を受け取る。よく見てみると、そこは少々子どもの手では難しいコツのいる接続部分であった。
「こうか?」  少し手首を回し、力を入れると部品から接続が完了した音が聞えた。
「お兄ちゃん、ありがとう!」
「どういたしまして。ほかに難しいところはないか?」
「えーと……」
「大丈夫だよ、灯真君。お兄ちゃんとのお話はもう終わったからさ」
 仁樹とこのまま続けていいのか、と目線を海琉に送っていた灯真。だが、彼の言葉を聞いて安心したらしい。足元に広がるプラモデルの部品から次々と難しいと思ったものを仁樹や海琉に渡していく。
「そういえば、昼は何喰いたいか?」
 メニューによっては買い出しが必要になる。時間を確認しながら二人にメニューを訪ねる仁樹に、灯真は目を輝かせて答えた。
「じゃがいも!じゃがいもがたべたい!」
「ジャガイモはわかった。で、ジャガイモの何が食べたいんだ」
「……あ!?」
「あははは!」
 メニューより先に材料を言った灯真であったが、肝心なメニューは何も考えていなかった。そのことにしばらくして気付いた姿に、海琉は大笑い。かくいう仁樹も笑わずにはいられなかった。
「よし。ポテトサラダ作るか。」
「いいね~。それと、俺はから揚げが食べたいよ」
「了解」
 昼食のメニューで盛り上がる居間に、先ほどまでの空気はもう無くなっていた。
 一体のプラモデルがもうすぐ完成ということもあって、灯真は仁樹と海琉教えてもらいながら一生懸命手を動かしていく。
「つながった!」
「やったね、灯真君!」
 まだ完成していないのに、ハイタッチをする弟と親友。その姿は本当に純粋で、楽しそうで、見ているだけで心が温まっていくことが分かる。
「お兄ちゃんも!」
「はいはい」
 だから完成していないって、と内心で思いながらも弟の楽しそうな姿に負けてハイタッチをした仁樹であった。





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