神と罪のカルマ オープニングthird【04】




 男は乱暴に袋を破いた。
 破れた袋から出てきたのは、大量のスチール缶。それも授業などで使用される実験用のものであった。
 スチール缶同士がぶつかり合うことで、その素材が持つ音が建物内に広がる。
「祝いだ……祝いだ……!!!」
 続けて、取り出したのは黒く薄い袋。
「祝いっていたら……」
 袋の中に破片、それも自分が砕きに砕いて壊したガラクタの破片を入れていく。
 スチール缶に細い筒をつけ、破片を含んだ袋へ溢れないように中身を入れていく。
 音からして、スチール缶の中身は気体だろうか。
 時折違う種類と思われる気体も混ぜ、入れ終えると袋の口を中の気体が逃げないようにきつく縛る。
 このような作業を男は何度も繰り返した。
 地味な作業。だが、男の顔からは笑みは消えない。
 笑み。第三者からみたら「気持ち悪い」と言われてしまうものだった。
「派手がいいよなぁ……!!けど、ガラスを入れちまったら袋が破けちまうな!!残念だ!!だから、ガラクタだ!!」
 ガラクタの欠片を掴む手に力が入る。
「あぁ?」
 手の中が切れた感じがした。
「はは!!ガラクタでも役に立つじゃぁねぇか!!」
 切れたことなどまるで気にしない。袋に欠片を入れる作業を再開した。
 自分の血が付いた、それらを入れていく。
「血なぁ……!!早く見てぇな!!真っ赤な血をよぉ!!!こう、バーンって撃ってよ!!」
 手で『銃』の形を作る。撃つことも出来ない己の手はすでに自分の血で汚れていた。
 しかし、男の脳内は偽りの銃を黒き銃に変換。血は己のではなく、勝手に脳内で殺した他者のものとした。
「そうさ!!一撃さ!!心臓に一撃だ!!一撃!!すなわち最強!!いや、最凶さ!!!
 あー!!!早く早く早く!!!!欲しい!!!この手に早く握りてぇ!!!!」
 叫ぶ。子供のような、しかし残酷な姿で。己の喉を殺すような叫びを響かせる。
「あー!!手に入れる!!!手に入れるさ!!!手に入れるためなら、我慢してやらぁぁあああ!!!……だから!!!」
 自分のそばに転がる黒いビニール袋。それは先ほど男が作成したガラクタと気体を含めたもの。
「前祝いさ!!!これは、単なる前祝いだ!!だから、殺しでも何でもね!!!」
 男の視線は外へ。雨は、弱い。それだけで自分が運命に歓迎されているように感じた。
「夜だな!!やっぱり、『花火』を派手にぶちかますなら夜しかねぇな!!!!」
 すべての愚民どもに聞けと言っているかのように、醜い声で叫ぶ。
 そして、再び『花火』と称すものの作業に取り掛かった―――……。







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