神と罪のカルマ オープニングfifth【01】



 『人形』はただ真似をしていた。
 〝人間の真似〟。
 見えない紐で、吊るされて。
 道化とも言えない姿で。
 『操り人形(マリオネット)』として―――。

 『人形』は自分の意志では動けない。誰かが、『人』が動かさなければ動かない。
 『人』は動かしたいときに『人形』を動かす。
 『人形』で遊びたいときに。『人形』の置き場所を変えたいときに。『人形』を誰かに見せたいときに。
 『人形』が動くためには『人』が必要。
 『人』が『人形』に興味と関心を示さなければ動くことが出来ない。

「やめてくれぇぇえええええええええ!!!」

 『人』によって動かされた『人形』が、その場に立たされていた。
 『人』の声が『人形』の、その耳のようなものに伝わる。
 だが、伝わるだけ。伝わるだった。
 『人』の叫び声。
 『人』が聞けば、伝われば、どんな意味を表すか。
 『人』なら、すぐに、誰でも、当たり前のようにわかるものだった。

〝『人形』の周りには、『絶望』が広がっている〟――――。

 『人形』は『絶望』を知らない。
〝知らない事も『知らない』〟。
 ただ、『人』が望むままに動くのみ―――。

「〝みんな〟……!」
 『人』が目の前に広がる『絶望』に語り掛ける。
「〝順一〟……! 〝吉平〟、〝大和〟……! 〝昇〟……!」
 すべては、〝『人』の名前〟。
 そのすべてが、〝染まる〟。
「なんで、なんでだよ……!!」
 赤い、紅い、朱い――――。
 『血』で染まる―――。

「俺たちが何したってんだよ!!」
「……」
「〝何もしてねェだろ〟!!!」
 『人』が『人形』に、『怒り』をぶつける。

 『人形』は何も言わない。
 『人』に口のようにみえるそれを動かされない限りは―――。

 『人形』は真っ直ぐと『人』に向かって動かされる。
 『人形』の反応に『人』は後ずさる。

 そして、その手のようにみえるそれに握られた『もの』を持ち上げる。
 何処にでもあるような。『人』が必要なときに使うような『もの』を。

 そして―――。






「〝――――――〟」


「〝―――――――――――〟」



 『人形』は初めて。
 与えられた、〝録音されたものを〟――――。

 〝音声として再生された〟―――――。








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